金投資商品のコスト比較¶
このドキュメントでは、以下の3つの金関連投資商品について、コスト面(手数料や税金など)を中心に比較します:
金先物取引
金ETF
ジパングコイン
取引手数料の比較¶
金先物取引¶
- 注文手数料
通常、1契約あたり固定手数料(数百円〜数千円)または取引金額の一定割合(0.1〜0.5%程度)
- スプレッド
比較的広い場合が多く、特に市場の変動性が高い時期には拡大
- ロールオーバー手数料
期日を超えてポジションを維持する場合、ロールオーバー(乗り換え)手数料が発生
- 追証リスク
価格変動により追加証拠金が必要になるリスクがあり、結果的にコスト増加の可能性
金ETF¶
- 購入手数料
証券会社によって異なるが、一般的に現物株式と同程度(0〜0.5%程度)
- 販売手数料
多くの場合、無料または非常に低い
- 信託報酬(管理手数料)
年率0.3〜0.5%程度、長期保有の場合は累積的に影響
- スプレッド
流動性の高いETFの場合は比較的狭い
- 追加コスト
特になし(実物の金の保管コストはETF運営会社が負担)
ジパングコイン¶
- 購入手数料
取扱暗号資産交換業者によって異なる(通常、取引額の0.1〜3%程度)
- 保管手数料
無料(デジタル資産のため)
- スプレッド
取扱暗号資産交換業者が個別に設定
- 出金手数料
暗号資産交換業者の規定による(将来的に入出庫サービス提供予定)
税金面の比較¶
金先物取引¶
- 課税区分
申告分離課税
- 税率
所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%(合計20.315%)
特記事項 :
決済益は「先物取引に係る雑所得等」として申告が必要
他の先物取引等の損益と通算可能
損失は3年間の繰越控除が可能
金ETF¶
- 課税区分
申告分離課税
- 税率
所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%(合計20.315%)
特記事項 :
NISA口座で購入した場合、非課税枠内であれば売却益非課税
つみたてNISA口座では一部の金ETFのみ対象
配当金(一部のETFで発生)も同様に課税
ジパングコイン¶
- 課税区分
雑所得(暗号資産に関する所得)
- 税率
総合課税(所得税の累進税率+住民税)
年間所得額によって5〜45%の累進課税+住民税10%
高所得者の場合、最大55%程度の税率となる可能性
特記事項 :
他の暗号資産との損益通算は可能
損失の繰越控除は不可
確定申告が必要
最小投資額の比較¶
金先物取引¶
- 最低証拠金
数十万円〜数百万円(取引所・ブローカーにより異なる)
- レバレッジ
5〜20倍程度のレバレッジが一般的
金ETF¶
- 最小購入単位
1株(数千円〜1万円程度)
- 分割購入
一部の証券会社では単元未満株の購入も可能
ジパングコイン¶
- 最小購入単位
非常に少額から可能(数百円程度から)
- 分割購入
細かい単位での購入が可能
流動性とコスト影響¶
金先物取引¶
- 流動性
主要取引所(COMEX、TOCOM)では高い流動性
- 取引時間
限定的(取引所の営業時間内)
- コストへの影響
高い流動性により通常はスプレッドが狭いが、市場変動時に拡大
金ETF¶
- 流動性
主要な金ETFは非常に流動性が高い
- 取引時間
証券取引所の営業時間内(9:00-15:00)
- コストへの影響
高い流動性によりスプレッドが狭く、大口取引でも価格への影響が少ない
ジパングコイン¶
- 流動性
現状では限定的(取扱暗号資産交換業者が限られる)
- 取引時間
24時間365日(暗号資産市場の特性)
- コストへの影響
流動性の制限によりスプレッドが広い場合がある
隠れたコスト¶
金先物取引¶
- 維持費
ポジション維持の資金コスト(金利相当)
- 管理コスト
継続的な市場監視とポジション管理の時間的コスト
- 為替リスク
外国市場での取引の場合、為替変動のリスク・コスト
金ETF¶
- 信託報酬の影響
長期保有における累積的な報酬コスト
- トラッキングエラー
実際の金価格との乖離によるパフォーマンス低下
- 税効率
配当や内部取引による影響
ジパングコイン¶
- 暗号資産特有のリスク
規制変更やセキュリティリスクに伴う潜在的コスト
- 流動性限定によるコスト
大量売買時の価格影響
- 将来の交換手数料
将来実物の金と交換可能になった場合の手数料
総合評価:コスト面での比較¶
短期投資の場合¶
金先物取引: レバレッジにより少額で大きなポジションを取れるが、手数料と追証リスクが高い
金ETF: 中程度の手数料と税効率の良さが特徴
ジパングコイン: 少額投資が可能だが、税率が高く、流動性が限定的
中長期投資の場合¶
金ETF: 管理手数料はあるものの総合的なコスト効率が良好、NISA活用で税メリットも
ジパングコイン: 保管料がなく少額から投資可能だが、税負担が大きい
金先物取引: 継続的なロールオーバーコストがかかり長期保有には不向き
超長期投資の場合¶
金ETF: NISA口座活用で非課税メリット、流動性も高い
ジパングコイン: 将来的に実物金との交換可能性あり、管理コストが低い
金先物取引: 超長期には不向き
投資家タイプ別のコスト最適化¶
アクティブトレーダー¶
- 推奨
金先物取引(短期の価格変動から利益を得る場合)
- コスト最適化策
レバレッジを適切に活用し、不要なロールオーバーを避ける
中長期投資家¶
- 推奨
金ETF(特にNISA口座での購入)
- コスト最適化策
信託報酬の低いETFを選び、定期積立で購入コストを平準化
少額分散投資家¶
- 推奨
ジパングコインまたは金ETF
- コスト最適化策
少額から始め、徐々に資産を構築